特許MAPのプレゼンは「洛中洛外図」に倣う

プレゼン資料の作成方法に関するハウツー本は数多ありますが、特許MAPを使った戦略提言に関するプレゼン資料の作成においては、「洛中洛外図」を意識すれば十分ではないかと思っています。つまり、洛中洛外図の「大事な部分は非常に細かく描き、その他多くの部分を雲とするバランス」…特許MAPの極意だと思います。



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近頃、IPランドスケープと呼称されて、事業方針の決定・経営意思の決定に特許情報を活用することが世間的に注目されているようです。

(実際は以前から知られていた特許情報を使った事業分析手法に対してIPランドスケープと命名されただけのような気がしなくもないですが…)

経営層に対して特許情報を使った提言をする際には、ただひたすら文字で情報を伝えるのではなく、絵として表現された特許MAPが使われると思います。但し、特許MAPに過多な情報を載せることは避けるべきです。

なぜなら、情報が過多では意思決定を遅らせるだけだからです。そのため、特許MAPの作成時には「全体像は抑えつつも、重要な事項と、それを納得するのに必要な厳選された情報、並びに結論」のみを載せることを心掛けるべきだと思います(言うは易し…かもしれませんが)。

ところで、私が個人的に理想化している「特許MAP」像には、倣うべきモデルが存在します。それは「洛中洛外図」です。「洛中洛外図」とは、京都の市街地と郊外の景観を上空から俯瞰してように描かれた屏風絵です。単なる屏風絵ではなく、何百年にも渡って描かれ続けられたもので、そのいくつかは国宝や重要文化財に指定されています。

洛中洛外図を観賞すれば誰でもすぐに気づくことだとは思いますが、この国宝は、重要なところは非常に細かく描かれている一方で、結構な部分が雲に覆われています。

例えば、名所と言われる景観、季節の行事、人物の生活の様子など伝えたいところは非常に細かく描かれており、当時の京都の様子がまるっと分かります。しかしながら一方で、多くの部分を雲とすることで、京都の広さを伝えながらも全体としてうるさくなく、むしろ京都の気品さえ感じることができます。

まさに洛中洛外図は「全体像は抑えつつ、重要な事項と、それを納得するのに必要な厳選された情報、並びに結論」を表しており、この「京都とは何か?」の捉え方と描き方は、特許MAPの作成のモデルになると思っています。

国宝・重要文化財を特許マップに例えるのは恐れ多いですが、時間を超えて普遍的な価値を有するものは、どんな分野にでも応用がきくのだと思います。



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