「その他/その他の」の違いは図解で一発解決

「の」という1文字が有るか無いかしか違わない「その他」および「その他の」ですが、その1文字の存否によって、その前後に置かれた用語の関係性が「包括関係」なのか「並列関係」なのかが変わります。工夫なしに覚えようとすると取り違えやすいので、それぞれの言葉を簡単に使い分けられる簡単な覚え方を図解で紹介します。 



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「その他」と「その他の」は、1文字「の」の有無だけで意味が変わります。具体的には、「の」の有無で、その前後の関係が変わります。本記事は、「の」の読み方を説明します。 

「その他/その他の」は、ともに「Aその他B」「Aその他のB」のように、前後に用語を配置して使われ、意識しなければ同じものと捉えてしまうかもしれません。 

しかし、「の」の有無によって、前の用語「A」と後ろの用語「B」の関係が変わります。具体的には、「Aその他B」では、「A」と「B」は並列関係になり、「Aその他のB」では、「A」と「B」は包括関係になる…と一般的には説明されます。 

どういうことだ…?

以下、具体例をもって説明し、最後に、両者の用法を一発で区別できる図解を紹介します。 

「その他」 

まず、「Aその他B」について説明します。「その他」の、前後の用語が並列関係にあるというのは、概念の上下関係において同列に並んでおり、 

Aを示したが、それとは別に、Bも示す

という意味合いになります。例えば、「二輪車、四輪車、その他移動体」という説明文があった場合、二輪車および四輪車を示した上で、それとは別に、移動体も示していることになります。ここで移動体は、例えば、三輪車であり、二輪車および四輪車は移動体の定義には含まれません。 

「その他の」

次に「A、その他のB」について説明します。「A、その他のB」の、前後の用語が包括関係にあるというのは、概念に上下関係があり、 

Aを例示として示したが、それの上位概念であるBを示す 

という意味合いになります。例えば「二輪車、四輪車、その他の移動体」という説明文があった場合、二輪車および四輪車を例示として示したうえで、それの上位概念である移動体を示していることになります。すなわち、二輪車および四輪車は、移動体の定義に含まれます。 

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「A、その他B」は前後を並列関係で示し、「A、その他のB」は前後を包括関係で示すということなのですが、外観が似ているため両者を混同してしまいがちです。そういうときには図解です。「A、その他のB」の意味を図解すると、下図のように、

「の」という字を拡大し、拡大された「の」が、「前の用語」を抱きかかえて包含した上で、その包含しているものを、「の」の字の終点(払い)にある「後ろの用語」に向かわせているイメージ 

(クリックして拡大)

ふざけているように思えますが、大マジメ。図解で両者を直観的に識別できると思います。

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ところで、「その他/その他の」は特許法条文でも使い分けを確認できます。 

例えば、特36条7項では、「明細書…に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項…」というように使われています。この場合、「明細書…に記載した発明の概要」と「経済産業省令で定める事項」とは並列する関係になっています。 

また、例えば、特34条4項においては、「相続その他の一般承継」というように使われています。この場合、「相続」は「一般承継」の代表的な例示として記載されているのであって「相続」は「一般承継」の定義に含まれることが分かります。 

本記事で解説した「その他/その他の」の識別は、法律用語「前項に規定する場合/前項の場合」の識別と同様に、特許法の条項を自力で読み解くのに欠かせない用語です。しかし、明細書などの特許出願書類においては、「その他/その他の」よりも「有する」「含む」というオープンな表現で包括関係を記載した方がよいため、登場しません(だから、一般的に、なじみがないのかも知れません)。



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